UNDERGROUNDジャーナル研究所

ヤクザ・暴力団、その他裏社会に関するジャーナリズムについて研究・紹介するブログです。 ※このブログは反社会的な団体・行為を助長するものではありません。

溝口敦さん

今回は、暴力団取材の第一人者である、ジャーナリストの溝口敦さんについて紹介したいと思います。このブログの筆者自身が裏社会やヤクザに興味を持つようになったきっかけも、この溝口さんです。

 

 

 

www.youtube.com

経歴

溝口敦さんは、1942(昭和17)年、東京都生まれ。神奈川県立川崎高校、早稲田大学政治経済学部を経て、1961年に徳間書店入社。1968年、徳間書店を退社後、『山口組ドキュメント 血と抗争』を刊行。1973年、博報堂入社。1980年、博報堂を退社後、フリーランスとなる*1

1990年、『山口組ドキュメント 五代目山口組』を刊行後、新宿区高田馬場仕事場近くで背中を刺される事件が発生(犯人は山口組暴力団員と思われる)。2006年には自身の長男が三鷹市内でハサミで刺されている*2

2003年、ハンナン社長の浅田満について取材した『食肉の帝王』は講談社ノンフィクション賞を受賞した。

暴力団排除条例が全国で施行された2011年には、新潮新書より『暴力団』を出版。著者は同書をあとがきにて「暴力団ものの集大成」としている*3。翌年の2012年にはその続編となる『続・暴力団』を出版した。

 

その他、ヤクザ、暴力団に関する著作が多数ある。日刊ゲンダイにて、「溝口敦の切り込み時評」連載中。ヤクザ関係の著作の他、創価学会会長の池田大作や、占い師の細木数子についての著作もある。

 

著作

 

www.amazon.co.jp

www.amazon.co.jp

 

その他、ヤクザに関する著作が多数ある。

 

細木数子による訴訟

2006年、『週刊現代』誌上にて、細木数子 魔女の履歴書」を連載。占い師・細木数子暴力団幹部との関係、陽明学者の安岡正篤との婚姻関係などについて記述した。これに対し、細木数子は広域暴力団幹部に連載の中止を依頼*4。これを溝口さんが断ると、細木数子講談社を相手に6億6000万円の訴訟請求を起こした*5。その後、2008年、細木数子は訴訟を取り下げた*6

yakuza893.blog.jp

yakuza893.blog.jp

 

生島マリカによる訴訟

2016年2月、溝口さんは日刊ゲンダイのコラムにて、ストリートチルドレンで作家の生島マリカさんを取り上げた。

www.youtube.com

 

日刊ゲンダイの記事では、生島マリカは覚醒剤依存症であり、元プロ野球選手の清原和博覚醒剤を流していたと書かれていた*7。同年3月、生島さんは記事は事実無根であり、名誉を棄損されたとして、溝口さんと株式会社日刊現代を相手取り、慰謝料を求めて訴訟を起こした*8。これについて、関係者からは溝口さんに批判の声が寄せられた。

2018年6月、東京地裁は名誉棄損を認め、溝口さんと日刊現代に220万円の支払いを命じた。同年7月、溝口さんと日刊現代が控訴。同年12月、東京高裁は控訴を棄却。2019年1月、溝口さんと日刊現代が期限までに控訴しなかったため、判決が確定した*9

 

特徴、作風

著書の新書では、ヤクザ、暴力団について、素人にも分かりやすい解説が特徴。ヤクザ取材を主たる著作としながらも、作中にはどこか飄々とした雰囲気も漂う。

「殺菌には日の光に晒すのが一番だそうだ」アメリ最高裁判事ルイス・Ⅾ・ブランダイスの言葉)を本人はモットーにしている*10そうだが、その言葉通り、ヤクザという「悪」に対する勧善懲悪というよりも、淡々とヤクザの現状を記述していく作風が溝口さんの特徴と言えるかもしれない。

 

ご本人の公式サイト

溝口 敦の仕事

(2024年3月現在、閲覧できなくなっている。)